当社の社員はなぜ経営者思考なのか?

当社の社員を見ていると不思議な感覚に陥ることがあります。
それは、経営者の立場で行動をしている者が多いからです。

これまで数々の薬局を視察してきましたが、患者さま、薬局、会社は二の次で、自分の事を最優先に考える薬局スタッフが少なくありません。意識的にそうしているのか、無意識の行動なのかわかりませんが、明らかに優先順位がおかしい対応をされて驚いた経験は数えきれないほどです。みなさんの中にも、他店でそうした経験をされた方は多いと思います。

「自分が楽になりたい」「自分の立場を守りたい」といった個人のエゴを前提に組み立てた行動に普遍性はありません。当の本人はまことしやかに話をしているつもりなのだと思いますが、そこにロジックはなく、矛盾した自論を展開しているだけなので、突っ込んで話をすればすぐに行き詰ります。

一方で当社の社員は、自分に不利なことでも、手間が増えることでも、患者さんのために、会社のためになると思えば労を惜しみません。時には、もっとこうした方がいいのではないかと提案があがってくることもあります。どの社員も経営者目線で行動をしているのです。本当にありがたいと、日々感謝しています。

では、なぜ当社の社員は経営者思考なのか?

一つは、調剤薬局業界が厳しい時代に入っていることをきちんと認識している者が多いからだと思います。危機の本質を理解しているので、これからどうすべきなのか、逃げずに正面から取り組むことができるのでしょう。

もう一つは、大半の者が薬局の利益構造をよく理解していることでしょう。もちろん薬局経営の構造は比較的わかりやすいという前提もあるでしょう。粗利は技術料+薬価差益、そこから家賃や人件費、光熱費等の販売管理費を引くと簡単に計算できます。

いいかえれば、薬局を経営的視点から捉えようとしているのか、それとも面倒なことは避けようとしているのかを分けるひとつのバロメーターが、利益構造を理解しているのか、してないのかだといえるでしょう。幸い、当社の場合は、考えている者が多いのだと思います。その積み重ねが個人の成長に繋がり、ひいては会社の成長に繋がっているのだと思います。

本来、人間は楽な方に逃げる動物ですが、逃げずに冷静に判断をして行動に移す方法があります。それは、自分にとって軸となるモノサシを持つことです。それができれば、どんな場面でも思考がブレずに済むと思います。

これは私自身がいつも諸先輩方から言われていたことでした。
とはいえ、言うは易し、ブレずに行うは難し。私も日々勉強中です。