「朝型勤務」制度の意味について考える

伊藤忠商事が、20時以降の勤務を原則禁止、22時以降の勤務を禁止、残業は翌朝おこなう『朝型勤務制度』を今月から正式導入しました。

目的は効率的な働き方を実現するためです。

夜間の残業禁止については、色々な意見があると思いますが、私は、このニュースを聞いた時に、「多くの女性が活躍する薬局においてこそ、とても参考になる制度ではないか」と思いました。

薬局の役割は、患者様の健康、治療、回復に貢献すること。目の前の患者様を放って帰るわけにはいきません。

しかし、患者様がいないにも関わらず、誰かが残っていたらどうでしょうか。自分だけ先に帰るのはなかなか勇気がいるものです。

「家で子供が待っているのに」「習い事が始まってしまうのに」…。そわそわしながら時間が経つのを待っているスタッフたちの姿が想像できます。こうした状況を何とかしなければと思うのは私だけではないでしょう。

そこで会社側が、不必要な勤務を禁止する姿勢を示すことが意味を持ってくるのではないかと思います。
「急ぎの仕事がない人は終業時間に?帰らなければいけない」とルール化することで、帰社に対する気まずさ、間違えた罪悪感は減ると考えています。

そもそも仕事とは、決められた時間の中で効率良く働くことが前提です。それでも、どうしても終わらないこともあるでしょう。その時は、仕事を終えられなかった人だけが残ればすむ話です。このような雰囲気を作れるかどうかは、時間効率をあげる働き方を実現する一つの鍵ではないでしょうか。

現在は、労働時間を増やしても、それに比例して成果が上がるわけではないという認識が広まっています。それよりも、時間当たりの生産性が高い人材が高評価を得る時代になったと感じています。

少なくとも当社では、各人の総支給額と成果を常に確認し、公平な評価を心がけています。

極端な意見になってしまうかもしれませんが、支障がなければ既定の時間どころか、それ以下の勤務時間でも構わないと思います。

重視すべきは労働時間の長さではなく、具体的な貢献度です。効率良く働き、プライベートな時間を自己研磨に使って、明日からの仕事に生かす。当社はもちろん、社会全体が、そのような働き方への転換を目指しています。みなさんが、自身の働き方、時間の使い方を見直す機会にしていただけたら幸いです。