あけぼの通信2014.11.25現場力をあげよう!

Webコラム Vol.07 現場力をあげよう!

調剤薬局は急増を続け、競争は激化する一方です。そうした中で選んでいただける薬局になるポイントは、現場が患者さま視点、薬剤師視点、経営者視点の3つを併せ持ち、改善を継続していくこと。すなわち“現場力”の強さです。“現場力”をあげるためにはどうすればいいのでしょうか。現場、本部から3名の方に集まっていただき、お話を伺いました。

各店の潜在的な〝現場力〟

福山 康弘
福山 康弘(ふくやま・やすひろ)
1957年東京生まれ。東京都立大学工学部院卒。工業ガス業界最大手半導体製造装置事業部、医療用酸素を扱う子会社社長を経て、2014年9月より薬局事業部勤務。

- 「リーダーシップ3.0」の職場づくりをするために、他に必要なことはありますか?

福山 先日入社したばかりの薬局事業部の福山です。以前は工業用ガス、医療用ガスなどを製造する産業用ガスメーカーにいました。

松永 永山、ポプラ調剤薬局、橋本の三店舗のエリアマネージャーをしています。最初は製薬会社の研究員でしたがマネジメントに興味を持ち、調剤薬局の現場に飛び込みました。

宇田川 美原薬局の管理薬剤師の宇田川です。いろいろな調剤薬局を経験しましたが、管理薬剤師になったのは初めて。無我夢中に働いてやっと1年が過ぎました。

― 現場の人たちから、様々な改善案や新しい提案などが出ることはありますか?

宇田川 けっこう出てきますよ。先日は、万が一に備えて「防災マニュアルを作ろう」という提案がありました。雷が落ちた時の対応とか、冠水に備えた土嚢の積み方などが分かれば、いざという時安心だというわけです。

松永 どういう風に意見を引き出していますか?

松永 裕理
松永 裕理(まつなが・ゆり)
1967年東京生まれ。北里大学薬学部卒。製薬会社の合成研究部門の専門研究員を経てから調剤薬局勤務。現在、永山・ポプラ・橋本3店舗のエリアマネージャーとして活躍中。

宇田川 効果的なのは、「今朝の新聞にこんな記事があったけど、どう思う?」といった具合に雑談を始めることですね。先日は、個人情報保護の記事の話をしていたら、一人の薬剤師から、「そういえば、カウンターのついたて越しに、隣の患者さまの薬の説明が聞こえるけど、これをどうにかしたいですね」といった意見が出てきました。

その他、ちょっとした空き時間をみつけては、みんなの雑談が弾むようにいろんなネタをふるようにしています。着眼点の鋭さに驚く発想に出会うことは、しょっちゅうです。

松永 研究職時代に先輩たちから、よく「新人や他業種から来た人の素朴な疑問が大切だ」と言われました。ベテランにとってはすべてが当たり前なので、そもそも疑問がわかない。改善案や新しいアイデアがなかなか出てこないというわけです。

自分がベテランになるにしたがって、先輩たちの言葉の重みが分かってきました。ですから新人の方、転職してきたばかりの方にはどしどし意見を出してほしい。そういう意味で、福山さんにも大いに期待しています。

宇田川 「こんなこと言ってもおかしくないかな?」「間違ってないかな?」と不安を持ってる人は大勢いるので、あわせて「その意見いいね」「そういう視点が重要」と具体的に「いい点」を褒めることも大切ですよね。

〝現場力〟をあげる社内コミュニケーション

宇田川 真理子
宇田川 真理子(うだがわ・まりこ)
1962年東京生まれ。明治薬科大学薬学部卒。調剤薬局、病院など数社で経験を積み、美原薬局で管理薬剤師として活躍中。将来はエリアマネージャーを目指す。

― 〝現場力〟をあげていくためには管理薬剤師のマネジメント力が重要になってくるわけですね。

宇田川 気になるのは、管理薬剤師に対して「上の人だから自分の意見を言いにくい」と思っている方が少なからずいることです。上下なんてないと思うのですが。

松永 そもそも実名で意見は言いたくないという人もいますよ。そういう意味で、匿名で意見が言える目安箱のようなものがあってもいいかなと。

福山 そうした場があれば、管理薬剤師さんが意見を吸い上げる時の一種のフィルターになることも防げます。変化を嫌う管理職は、どこの組織でも少なからずいるものですからね。私がぐるぐると店舗を回っているので、とりあえずは私に意見を言っていただいてもかまいませんが…。

松永 福山目安箱ですね(笑)!

宇田川 あとは管理薬剤師同志のコミュニケーションをもう少し図ったほうがいいかなと思います。実際にお会いしたことがある管理薬剤師のお店とそうでないお店ではFAX1枚、メール1本でもコミュニケーションの密度が違う。それは、店舗同士、個々の店の管理薬剤師とスタッフとのコミュニケーションにも影響すると思います。

松永 確かに。管理薬剤師同士の円滑なコミュニケーションの大切さは、先日取り組んだ「不動在庫の圧縮のために『店舗間で必要な薬と不要な薬をスピーディーに交換できる』システム」を作るときに痛感しました。まず親しい管理薬剤師に話をもっていったので、最初から「確かに便利だね」といった協力的なムードでスタートし、現場や他の店にもいい感じで拡がっていきました。仮に親しくなければ、「松永というエリアマネージャーが面倒なことをやっている。知らんぷりしておこう」となるのではないでしょうか。

宇田川 機会があれば、飲み会、お茶会、ランチ、勉強会…。名目は何でも構いませんが、まずは、集まる機会を設けられるといいのかもしれませんね。