あけぼの通信2015.10.07自分本位の接客になっていないか?

自分本位の接客になっていないか?

来年4月の調剤報酬改定、翌年4月の消費税増税と逆風が続き、サバイバル競争は年々激化しています。厳しい環境の中、自分たちの薬局が生き残るには、一体何をすればいいのでしょうか? 今回は「現場力」に焦点を当て、つぶれないし買収もされない、そんな薬局のヒントを探ってみたいと思います。

ヒント1
すべての患者さまから「ありがとう」と言われる薬局づくり

突拍子もないことより、コツコツ改善を図ることが、患者さまの信頼を得る近道だと思います。
日々の努力が、数ヵ月後、1 年後、数年後、大きな成果をもたらすと考えています。
中板橋店で実践していることのごく一部をご紹介させていただきます。

中板橋店 管理薬剤師 山田篤司さん
中板橋店 管理薬剤師 山田篤司さん

薬の説明は「プレゼンテーション」 この良し悪しが命運を握ります

山田 相手に理解されることが第一歩。処方薬から類推されることも含めて年齢・性別・職業や今置かれた状況‐急いでいる、早く薬を飲みたい等々‐をよく勘案し、何に重点を置いた「プレゼン」とすべきか、日々格闘・葛藤です。

ご承知の通り、慢性疾患薬と急性の薬とでは同じ薬でもプレゼンは当然異なりますし、新規の方と継続受診ではかける時間やポイントも異なります。

日々例外なく生じる処方の指示とのアンマッチ‐一日3回毎食後→食事は日に2回、朝食後服用→もう昼前だ、入浴後→朝シャワーで済ませている、夜間勤務や日勤夜勤‐をどう解決するか。適量塗布の「適量」とは?治ったら途中でもやめてよい?」等々、枚挙に暇はありません。

分包された粉薬はどのように切ったら残さず楽に服用できるのか、パップの具体的な貼り方と場合によっては実施、半錠分割を自身でされる方への自宅でのスプーンを使った方法など、プレゼンの材料はそこここに転がっています。

プレゼンが終了したらタイミングを見てきちんと「礼」をすること、ここが最後のポイントです。終わりよければすべてよし、でしょうか?

ヒント2
どこにもないオンリーワン薬局づくり

槇原敬之さんの「世界に一つだけの花」の歌詞にあるように、
オンリーワンを薬局で目指すために、私が取っている具体的方法をご紹介します。

薬局事業部 部長代行 松永裕理さん
薬局事業部 部長代行 松永裕理さん

ポイント1 欠品時の対応

松永 橋本店では、みんなが処方せんを1枚でも逃さない気持ちを持っています。そのための方策を、日頃からあれこれ沢山考え、準備をしています。

例えば、同効薬や規格違いに変更いただく疑義照会をする際、医療機関と上手く会話ができるよう、日頃から話し方の練習をしたり、Drとコミュニケーションを取っています。また、近隣薬局とも連携を取り、小分けを有効に活用しています。

ポイント2 「お待たせしました」

松永 薬局にとって「お大事にどうぞ」は、さようならを意味します。ところが、薬をカバンに上手くしまえず、会計後、カウンターにしばらく留まる患者さまに何と言えばいいのかと悩むところだと思います。

そこで、帰りの用意をしている患者さまには「お待たせしました」と声をかけるようにしています。お待たせしましたで間をつなぎ、お大事にどうぞで締め、自動ドアが開いたら、再度、お大事にどうぞと大きな声で言います。

これで患者さんが、早く帰れと言われているように感じることがなくなると思います。最近は、お疲れ様!、ありがとね? など、患者さまから心がこもったお言葉を頂くことが多くなりました。

ポイント3 損して得取れ

松永 これも橋本店での話になりますが、駐車券は患者さま1人三枚までと決まっています。でも、いつもよりお待たせしたり、もう一枚欲しいという方には、もう一枚サービスです!と渡しています。

ルール外のことですので本部への報告は必要になりますが、これで患者さまに「また、来よう!」と思っていただけたら会社も喜ぶはずです。

ポイント4 正しい日本語を使う

松永 特にご年配の方は、私たちの言葉使いを気にされている方が多いと思います。尊敬語、謙譲語、丁寧語を、間違いなく使えるよう、日頃から正しい日本語で会話をするよう心がけています。ご自宅をおうちと話していたりと、気になる会話には、お互いみんなで注意するようにしています。

まとめ

何が正解かは、患者さまの期待値を超えられるか超えられないか、超えられればきっと次回もお越しいただけるでしょう。

苦い薬に困る患者さんに単シロップをつけて、窓口におもちゃを用意して、咳が止まらない方にはお水をお持ちする。

その患者さまが自分の家族だと思い接し、相手の気になっていることや希望に的確に応える。それが次回の来局につながるのではないかと思います。

■この本を参考にしました。

この本を参考にしました。
新宿駅最後の小さなお店ベルク 個人店が生き残るには? 井野朋也(ベルク店長)
調剤薬局よりもずっと競争が激しい飲食業界で、個人店になぜお客さんが沢山来るのか?
チェーン店にはない創意工夫やユニークな経営術は、大いに薬局運営の参考になると思います。どの業界にも共通するヒントが満載しています。9月の連休に、おすすめの一冊です。