あけぼの通信2015.12.238・17店長会議 「技術料」を中心に効率経営のための方策
2016年度改定に向けた議論が始まり、厚生労働省は、大病院前に並ぶ門前薬局の報酬や、ジェネリックの単価を一段と下げる方針を示しています。一方で、門前医療機関以外の処方せんを積極的に応需し、残薬や飲み合わせを確認する等、本来担うべき役割を果たす健康サポート薬局に対しては、報酬の優遇が見込まれます。保険薬局である以上、私たちには国策を前提とした薬局運営が必須であり、大幅なマイナス改定が続く中、技術料をいかに増やしていくかについての話し合いがおこなわれました。
自分の店舗の現状をしっかり把握する
これまで処方せんに記載の薬剤を交付することがメイン業務だった調剤薬局が、ジェネリックへの変更権を持ち、手帳で飲み合わせ等を確認し、ハイリスク薬の指導をおこない、小児薬に対して適切な指導を行う等、本来薬剤師として当たり前の業務ではありますが、きちんとおこなう薬局に対しては点数を取れる仕組みになっています。
何をおこなえば、何を薬歴に記載すれば加算できるのか、まず算定要件の理解が必要ですが、改定から一年半程経過していることもあり、店長のみんさんは十分理解しているようでした。課題は部下への理解、指導をおこなっているかですが、ここはバラつきがありそうです。店長は理解しやる気はあるが、技術料に結びつききれていない店舗は、加算が取れない障害を、各自見直す作業をおこなうことになりました。「薬歴の書き方をさらに勉強していく予定(武蔵中原店・金子さん)」という前向きな話や、時間が裂けないとの店舗に「単語登録を行い、薬歴入力の時間を大幅に効率化している(光風台店・稲場さん)」とのアドバイスも出ました。
一層大きなウェイトを占めるジェネリック
次回改定で一段とハードルが上がることが予測されているジェネリックですが、その加算点数の高さに各店少しでも後発率を上げるべく工夫を図っています。「GE不可と記録が残されていても、定期的な確認作業は重要。4人に聞いて3人GEに変更になった日もある(部長代行・松永さん)」ダメと決め付けず、患者様の意識の変化を見逃さないきめ細やかな対応で、一層の後発率アップを実現させています。
「Dr がGEを嫌うケースもあるが特定のGEメーカーが嫌いであって全ての薬が変更できないと決め付けない方がいい(中板橋店・山田さん)」「GE嫌いの患者様を洗い出して、薬価の違い等を説明し開拓したい(武蔵中原店・金子さん)」と、後発加算2を算定してはいるものの、来春の改定ハードルを超えられるよう今から地道な努力を続けている店舗もありました。
これらの店舗に共通していることは、自ら限界を決めず果敢に挑戦することで、結果を出している点でしょう。
次回改定でさらに重視される面処方せん
面処方せんを厚生労働省が重視しているのは、基準調剤加算の要件に、特定医療機関からの処方せん応需率70%以下があることによく現れています。薬局は医療機関の隣で口を開けて待っていればメシが喰えるとの批判を受け、次回の改定では一段とハードルがあがることが予測されます。門前医療機関の処方せんばかり持ち込まれる=立地以外の付加価値が無い薬局とも言えます。入りやすい店構えにしているか、店の前、特に入り口を綺麗にしているか、店に一歩入ったときのスタッフの雰囲気はどうか、待合室は居心地がいいか、その上で薬剤師のサービスがはじめて活きてきます。面処方せんを集められるか否かは、その店舗の総合力の表れでしょう。
「面処方せんも多く、地域の方がさらに来る薬局にしたい(汐浜薬局・菊地さん)」最寄り駅から離れ決して恵まれていると言えない立地にも関わらず門前以外の処方せんが次々と持ち込まれる店舗です。「面処方せんを増やすことで後発率も上げたい(のぞみ薬局・近田さん)」駅に近く、少し離れたところにクリニックビルがあり、眼科門前で苦戦している後発率を面処方せんに力を入れることで同時に後発率も上げる戦略を打ち出しています。
具体的に動くことで結果をだす
いくら技術料を上げるための方法がわかっていても、実行してはじめて技術料に反映されます。「自分の前の患者がGEに変更すると、次の患者様も変えることが多い。手帳の説明もそうだが、聞かれてもいい説明は、聞こえるようにおこなうのも手(中板橋店・山田さん)」「GEに変更して欲しくないと言いつつ処方変更不可欄に完全に×を付けてくる訳ではない。(レインボー薬局・高橋さん)」医療機関、薬局がそれぞれ国の定めたルール内で最大限に加算を取るのは、当然の経営努力と言えます。Drとコミュニケーションを取り暗黙値を把握しているからこそなせるのでしょう。「どの薬をどれだけ置いてどんな処方せんを受けると最も利益が出るか、それはマニュアルではない(神馬エリアマネージャー)」店舗が置かれている状況はそれぞれ異なり、各店に合った緻密な戦略とその場の機転で確実に利益に結びつけています。
2016年4月の報酬改定を見据える
次回改定は調剤薬局にとって非常に厳しいものであることが確実視されています。一方で、国の推し進める戦略に沿う薬局が優遇されるは当然のことと言えるでしょう。来年4月以降も、かかりつけ薬局とジェネリックが重視されるのは間違いありません。今のうちから二大加算である「調剤基準加算」と「後発医薬品調剤体制加算」を目指し、他で削られる点数を補う準備が必要でしょう。
「在宅患者を医療機関から紹介いただいた。次回の改定で基準調剤加算の要件のハードルが上がる可能性があるので今からもう少し在宅患者数を増やしておきたかった(武蔵中原店・金子さん)」日頃より薬局の要望をDrに理解してもらう努力をしている結果と言えます。
次回改定を真剣に考えている店舗からは、「65%にこだわらず、ジェネリック比率は上げられるだけ上げておきたい」といった会話も聞かれます。
「地域ですぐに噂になるから、接客には気を付けている」どこの薬局が良い、悪いといった話は、私たちが想像する以上にされているものです。良い薬局と聞いて来てみたとの声を患者様から聞くことがあると思います。日々の地道な努力が、患者様を増やし、面処方箋を増やし、その地域におけるかかりつけ薬局としての確固たる地位を築き、結果として生き残る薬局となるのではないでしょうか。
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