あけぼの通信2014.07.30「あなたのほっとファーマシー」を創造する、「ワクをはみ出た働き方」とは? (パート2)

「あなたのほっとファーマシー」を創造する、「ワクをはみ出た働き方」とは?

「あなたのほっとファーマシー」という、これまでにない薬局像を実現するためには、スタッフ皆が楽しく働けて、力を発揮できる環境づくりが不可欠。そこで、多くの企業のコンサルティングを手がける吉田典生先生に話を聞きました。キーワードは、「ワクをはみ出ること」。一体どういうことなのでしょう?

社交ダンスを踊ろう!?

- 「リーダーシップ3.0」の職場づくりをするために、他に必要なことはありますか?

吉田 リーダーだけでなく、フォロワーも「今までのワクをはみ出る」ことが必要です。リーダーの指示を待つのではなく、「自分もこの店を動かす責任を担った一人だ」という当事者意識を持って、現場の変化を察知し、その情報をリーダーに伝えていく。すると、リーダーも適切な判断が下せるようになり、フォロワーも仕事がしやすくなるでしょう。

- 互いが協力しあうことで、楽しく働きやすい環境ができていくわけですね。

吉田 リーダーとフォロワーの関係は、「社交ダンス」みたいなものなんです。いくら片方のスキルや意識が高くても、片方に意欲がなければ、うまくいきません。一方で、ふたりともそこそこのスキルしかなくても、「一緒に踊ろう」という意欲が高ければ、すばらしいダンスが踊れるものです。
そして、そのダンスの質は、周りの人にも影響を与えます。楽しそうにダンスを踊っていれば、周りの人も気分が良いでしょう。逆に、互いに不満を持ったコンビがダンスを踊っていたら、ギスギスしている感じが伝わり、見ている方も不快な気分になります。

- 「あなたのほっとファーマシー」を目指している私たちとしては、やはり患者様に楽しそうなダンスが見せられる薬局になりたいと思います。

吉田 職場空間が来店者に与えるインパクトは、想像以上に大きいものです。私の家の近くに二つのコーヒーチェーンがあるのですが、S店のスタッフはすごく楽しそうに働いているのに対し、D店の方は覇気がない。僕は、コーヒーの味はよくわからないのですが、S店の方についつい足を運んでしまいます。S店に行くと気分が良い一方、D店に行くと気が滅入るので行きたくないんです。こういう人は私だけではないでしょう。

- 確かにそうですね。

吉田 「成功の循環モデル」という有名な理論があります。これは、組織がうまくまわるパターンをモデル化した理論なんですけどね。働く人の関係性の質が上がると、思考の質が上がる→行動の質も上がる→結果が出る→ますます関係性の質が上がる・・・といった好循環に入っていきます(図参照)。
要は、人間関係が良くなれば、組織はすべて良くなるということです。

図解・成功の循環モデル

優れたチームはこれができている。

働く人の関係性の質が上がると、思考の質が上がる→行動の質が上がり→結果が出る→ますます関係性の質が上がる、といった好循環に入る。逆に関係性の質が下がると、すべての質が下がるスパイラルに・・・

- 逆に、関係性の質が下がると・・・。

吉田 思考も行動も下がり、結果がでなくて、「あいつのせいだ」と人のせいにしはじめ、関係性の質がますます下がる・・・。もう最悪のサイクルに陥りますね。

関係性の質は簡単に悪化させることができます。そうならないためには、その店にいる全員が質を下げない努力をすることが大切です。それは会社のためでもありますが、自分のためにだって必要なことのはずです。

- 今日は良いお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。

インタビューを終えて

吉田さんとは初めてお会いしましたが、気がつけば予定を超えて2時間近くも質問攻めに。収録した話以外にも深い話がお聞きできて、大変勉強になりました。薬局以外の業界の話もためになり、他の業界に目を向けることも大事だと実感しました。楽しく働きやすい環境をつくるには、何が大切か。スタッフの皆さんも、この記事を元に、少し考えてみてもらえれば嬉しいです。(新村)

インタビューを終えて――

■オススメ図書
『ルフィの仲間力』 安田雪/著、アスコム、1200円+税

『ルフィの仲間力』 安田雪/著、アスコム、1200円+税
インタビューの最後に、吉田さんが「皆さんにおすすめしたい」と挙げてくれたのがこの本。大ヒットマンガ『ワンピース』の主人公であるルフィの周りには、なぜ人が集まるのか。心を開かない人がルフィにだけ心を開くのはなぜか。ルフィのために自らの体を投げ出すのはなぜなのか――。その「仲間力」の秘密を、気鋭の大学教授が解き明かしています。とっつきやすい内容で短時間で読めてしまいますが、学びの尽きない一冊。興味のある人はぜひ読んでみてください。

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